基幹システム導入など、戦略的IT投資案件は、企業にとってあらゆる面で大きなインパクトを及ぼすプロジェクトである。当然ながら失敗は許されず、計画当初のQ(品質)・C(費用)・D(納期)を達成すべくゴールを目指す。
とはいえ、通常の物品購入(何を、いくらで買うかが予め明確)と異なり、システム導入は工程を経てシステムの仕様が固まり、最終的にプログラムとして納品されるという特徴があり、ユーザ企業(=発注者)は納品時に初めて“出来上がり(=品質)”を認識することになる。金額の大小に関わらず、ウォーターフォール手法で開発を行う限り、この事実は変わらない。結果的に、納品されたプログラム品質が低く、稼働延期を余儀なくされるケースが未だ数多く見受けられるのもこのためだ。
費用を含むリスクの一部は、システムベンダとの契約の中で回避することも可能だろうが、本稼働遅延による機会損失はその限りでなくユーザ企業の痛手は計り知れない。
筆者は、20余年にわたりシステム導入プロジェクトに関わり、様々な経験を重ねてきたが、未だこの問題を完全に解決する術を見いだせていない。しかしながら、解決のために、まだ、ユーザ企業にできることがあるのではないかとも考えている。
以下に記載する内容は、あくまでも筆者個人の私見であることをご理解いただいたうえで、ご一読いただければと思う。
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